さよなら、アルファ
長いこと更新できていませんでしたが、ツイッターでの吐きだしも限界に近いため、
最近読んでぐっと来た1冊。
市梨 きみ先生の『さよなら、アルファ』です。
設定として特筆すべき点は最近流行ってきて認知度も上がってきている「オメガバース」設定ですね。わかんない人はググると親切な人たちがまとめてくれてるはずなので、ここでは割愛。
導入としては、自分を「アルファ」だと思い込んで今まで生きてきた完璧イケメン男子高校生がある日公園でいじめられていた小学生を助けたところ、なぜか自分の体に異変が起き、なんとその反応こそが「オメガ」が運命の番である「アルファ」に出会ったときのものだったので…
というような男子小学生の遙×男子高校生の千夏の物語です。
運命の番として出会った2人ですが、高校生と小学生という大きな歳の差に翻弄され、一度離れて生きていくことになってしまいます。
ただ、当時幼い遙の「ボクが大きくなったら今度こそボクがちかさんを守るからそれまで待っていてね」の手紙を残して。
その後、11年の時を経て千夏は遙への思いを意識しないように生活をしていましたが、そこに成長した遙が現れ…といったあらすじです。
この作品の中で目を引いたのが、大きな歳の差に翻弄され自分の身のふりを一生懸命考えて努力する千夏の姿です。基本的に千夏目線で物語が進行するものの、運命の番と出会い、そしてその相手が小学生であるという事実に動揺し、しかしそれでも遙が好きでそばにいるために自分はどうするのがお互いのためになるのか、微笑ましくもあり、危うい領域にまで届いてしまう献身がありました。
また、11年の時を経て再開した後の結ばれた2人として進む物語も出会いの物語と同量程度用意されており、時の流れというものの愛おしさ、それによって醸造された感情の大きさをしっかり味わえる作品でした。
市梨先生の他作品を読んだことはないのですが、手に取ってみたいと思うきっかけには十分なりました。
興味のある方、特にオメガバース大好きな人にはお勧めできる作品です。